スホーンデルヴルトのモーツァルト

フォルテピアノによるモーツァルトのピアノ・ソナタ全集

モーツァルトのピアノソナタの
新しい録音を、ここ20年ばかり
あまり真面目に探していませんでした。
リリー・クラウス、ピリス、ラローチャ、
バレンボイムの4人のピアニストの
全集がありましたので、
それで十分に満足できていたからです。
でも最近、
フォルテピアノの音に魅せられ、
この全集を買ってしまいました。

モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集
アルテュール・スホーンデルヴルト

Disc1
・ソナタ ハ長調 K.279
・ソナタ ヘ長調 K.280
・ソナタ 変ロ長調 K.281
Disc2
・ソナタ 変ホ長調 K.282
・ソナタ ト長調 K.283
・ソナタ ニ長調 K.284
Disc3
・ソナタ ハ長調 K.309
・ソナタ イ短調 K.310
・ソナタ ニ長調 K.311
Disc4
・ソナタ ハ長調 K.330
・ソナタ イ長調 K.331
Disc5
・ソナタ ヘ長調 K.332
・ソナタ 変ロ長調 K.333
・ソナタ ハ長調 K.545
・ソナタ ニ長調 K.576
Disc6
・ソナタ ヘ長調 K.533 & K.494
・幻想曲 ハ短調 K.475
・ソナタ ハ短調 K.457
・ソナタ 変ロ長調 K.570
使用楽器:
Disc1,2:タンジェントピアノ
Disc3,4:フォルテピアノ
Disc5:クラヴィコード
Disc6:フォルテピアノ
録音:2005年,2009年

現代のピアノによる華麗な演奏も
素晴らしいのですが、
このフォルテピアノも
格別の味わいがあるのです。
特にこのスホーンデルヴルトは
4種のフォルテピアノを使い分け、
録音しています。
おそらく作曲された年代に
最もふさわしい楽器を選んだものと
推察されますが、
微妙な音色の違いが素敵です。
もっとも私にはフォルテピアノ、
タンジェントピアノ、
クラヴィコードの構造上の違いは
よくわかりませんが。

特にタンジェントピアノで演奏された
Disc1,2の初期のソナタ集が
面白く聴けました。
現代ピアノよりも
こちらの方が自然に聴こえてきます。
スホーンデルヴルトは演奏上、
何か特別なことを
しているわけではなく、
極めて自然体と感じます。
その分、繰り返し聴いても
聴き飽きないのです。

それにしてもこのスホーンデルヴルト、
同じモーツァルトのピアノ協奏曲、
そしてベートーヴェンの
ピアノ協奏曲全集も
奇抜な着想と瑞々しい躍動感ある演奏で
素晴らしい録音を創り上げています。
しかしなぜかメディアで
あまり大きく取り上げられることが
ないように感じます。
もっともっと話題になっていいと
思うのですが不思議です。
そしてCDが早々と入手困難になるのも
困ったものです。
この全集も手に入れるのに
時間がかかりました(人気があるのか、
流通に問題があるのか、
ごく少量しか生産していないのか)。

次には
どんな演奏を繰り出してくるのか?
スホーンデルヴルトから
耳が離せません。

(2021.4.3)

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